我らと日本国憲法、共に1947年生まれだ。 死ねまへん!
自民党・維新の会・みんなの党が進める、「まず、96条から」は手続論か? そうではなく「国のカタチ」総体変更への入口だ。 両院で2/3以上で議決というハードルは異常か? 否! 米・英・独・仏・伊・韓を見よ。いずれも2/3に準ずる要件を課しているぞ! 狙いは9条だけか? そうではなくすでに雇用・労政・教育・教育などの領域で、実質改憲を推し進めている者どもの、「憲法三大原則」={基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄}解体の総仕上げ=公式放棄なのだ。 9条を含む総体変更・戦後民主主義の全面解体なのだ。「戦争」をできる国へ、天皇を元首とする民主主義否定の国へ、民の抗い・闘いを根絶やしにする国へ・・・・。それが「自民党草案」に堂々と書かれている中身だ。
現行憲法(青)と比較しながら、自民党草案(赤)が如何に「国のカタチ」変更・「憲法三大原則」解体への道であるか、あらためて見ておきたい。 第一条: 【現行】天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。 【自民草案】天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
第三条: 【自民草案】国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
第九条一項: 【現行】日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 【自民草案】******最終行を変更********、国際紛争を解決する手段としては用いない。(注:決意の削除)
第九条二項: 【現行】前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 【自民草案】前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。(注:集団的自衛権、米他同盟国の戦争への参加を想定)
第九条の二:(注:九条二項の削除に代わって新設) 【自民草案】 ①我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
②国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
③ 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
④ 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
⑤ 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。 (注:その他の公務員{例えば国家公務員・府職員・教師} は国防軍の軍法会議で裁かれるのだ)
第九条の三:(注:総動員体制ですな) 【自民草案】国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
第十一条: 【現行】国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 【自民草案】国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。 (注:「妨げられない」を削除している。)
第十二条: 【現行】この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 【自民草案】この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
第十三条: 【現行】すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 【自民草案】全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。 (注:十二、十三ともに公益・秩序というが、誰が決めるのか? 為政者が決めたその公益・秩序に反していれば尊重しないと言っている。)
第十九条: 【現行】思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 【自民草案】思想及び良心の自由は、保障する。 (注:「侵してはならない」という為政者への強い縛り感の削除)
第二十条: 【現行】信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。 【自民草案】信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
③ 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
第二十一条: 【現行】集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 【自民草案】集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
② 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。 (注:「公益及び公の秩序を害する」ことを目的としていると為政者が認定した結社には、集会・結社・言論・出版その他一切の表現の自由を認めない、と言っている。そこでは、反原発デモ・イラク戦争参加反対デモ・辺野古移転阻止行動などあらゆる抗議運動・表現が、「公益及び公の秩序を害する」の一点で「認められない」のだ)
第二十八条: 【現行】勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。 【自民草案】勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
② 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。
第六十六条二項: 【現行】内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。 【自民草案】内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。 (注:元軍人OKと言っている。文民統制の空洞化)
第九十六条: 【現行】この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 ②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。 第百条: 【自民草案】 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。 (注:無効投票を量産し投票率50%を作り出せば、有権者の25%越で可決となる) ②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法改正を公布する。 (注:「国民の名で」が消えている。)
第九十七条: 【現行】この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 【自民草案】全文削除
九十九条: 【現行】天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 第百二条: 【自民草案】全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。 ②国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。 (注:憲法擁護義務の主体が、為政者と公務員から国民へと変更され、かつ天皇又は摂政という文言が削除されている。第一条で元首となっていることと符号するが、天皇は憲法の上に在るとしている。憲法が、国家と法を「縛る」最高法規であるという「立憲主義」の正面からの解体である。)
かつて国民を戦争へと煽った大新聞・テレビ等は、ここでも再び口を閉ざし、遠慮がちに「9条」だけを言っている。そうではなく「憲法三大原則」=基本的人権の尊重、国民主権、戦争放棄、その解体、国のカタチの総変更が着々と進んでいるとは、何故か言わない。 岸信介の孫、安倍は「押し付けられた」史観DNAに基づき行け行けドンドンと走っている。事態は戦後そのものの否定とマスコミの協力の下、「改憲レース」第四コーナーを回っているのか? ジョン・ダワーは言っている(『敗北を抱きしめて』2001年、岩波書店)。 『押し付けたとすれば、日本国民とGHQ左派の「短期同盟」が、旧勢力に押し付けたのだ』と。 なるほど、今日の改憲勢力にとっては「押し付けられた」のだ。そういう者どもに「改憲」を「押し付け」られてたまるか!