交遊通信録: 品川宿急襲の女たち

女史三名(様)の 品川宿急襲に遭う

 月が変わって五月。一日、さっそく同世代元気バアさん(本人たちは姉さんのつもり)三名の急襲を受けた。                                                                                                                                                                       某生協の機関紙の敏腕記者(取材・撮影・簡潔にしてツボを外さない文章)の女性、その生協の理事で今春勤務先を定年退職したという女性、この二人は古い友人。もう一人は、天然酵母のパン製造・販売を夫と共に27年にも亘り続けている強者(?)女性。                                                                                                                                    何事かと訊けば、同日 福島であった『福島の子どもたちを放射能から守るための集会』(於:ホリスティカかまた。13:00~17:00)の帰りだという。                                                                                                                      翌日(5/2)の文部科学省・厚生労働省との交渉『子ども年間20ミリ・シーベルト基準の撤回を求める政府交渉』にも参加するので、「今夜泊めろよ!」という次第。当事務所の三階には雑魚寝なら4~5人は泊れるので、もちろん快く承知した。                                                                                                                              品川宿『たそがれ自由塾』近くの「美味い」創作料理居酒屋に案内し、痛飲となった次第。                                                                        当塾近辺の街並みや、旧東海道の趣を残す雰囲気がすっかり「お気に召された」三人は、それぞれぼくの3倍量以上の酒と料理を、美味い美味いと楽しみつつ、福島の報告をしてくれた。                                                                                                        翌日、文部科学省・厚生労働省との交渉についても、帰路、新幹線東京駅へ見送って小一時間報告を聞いた。楽しくも心強いご「一行様」だった。再訪歓迎といったところか・・・。

男と女が、それぞれの関わりの世界(勤務先・得意先・近所・友人知人・他)へ、この情報の発信から『脱原発』へ向かう声を広げるべき事態だと痛感する。緊急には、福島での「子ども年20ミリ・シーベルト基準」の撤回へと進むよう強く思うところだ。                                                                                                                                                              もし、地域や男女によって事態への受け止めに「温度差」なるものがあるのなら(実際あるのだが)、それは大きな錯誤だ。                                                                                                                             例えば、東京は福島~茨城~首都圏と地続きで、事態の推移によっては「現地」となり、千葉県北部などは200km圏内ですでに「現地」だし、何よりも全国に原発があり、地震・津波は地域・場所を問わず「潜在危機」として云わば「公平」に全国を覆っている。それは、男女に関係の無い事柄なのだ。

以下は彼女らの報告

【福島集会】                                                                                                                                原発震災復興・福島会議、福島老朽原発を間考える会 共催。                                                                県内外から250人参加。

 本来の国の」基準は年1ミリシーベルト。(これとて、ICRPが10万人に5.5人ガン死とする数値)                                                                                                 年20ミリシーベルトなる基準は、原発労働者が白血病を発症し労災認定を受ける線量に匹敵し、ドイツでは原発労働者に適用される最大線量に相当する。子どもは地表に近く、土を触り土埃を吸い、土に塗れて生きている。かつ、成長期の胎児・乳児・幼児・学童・生徒には被ばくの影響は、大人の10倍以上とも言われている。                                                                                                             長崎体験を振りかざして福島県の顧問(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)に居座る長崎大学の山下氏は「100ミリでも大丈夫」と公言して県内の「世論」形成に多大な影響を発揮した。                                                                                                                                                                                    その数字の実態とは、100万児童のうち5万人はガン死しなさい、という数字である。と言うのは、ICRP(国際放射線防護委員会)が言う、「年100ミリシーベルトで200人に一人がガン死」という甘い(ICRPは実態より10倍甘いと言われている)想定を採用しても、10倍なら20人に一人、つまり子ども100万人で5万人ガン死となる。                                                                              年20ミリという基準は、何としても撤回させなければならない。                                                        集会は、まず「地域別」に集まり意見を出し合い、さらにそこでの論議を基にシャッフルして「避難・疎開」「除染・放射能防護・測定」「知識・情報を広げる」「基礎知識学習」の4チームに分かれ議論を詰める・・・という工夫がなされていて、実に充実した集いだった。                                                                                                                                                             党や労組には無いスタイルだった。それぞれの「ホーム」「土俵」に持ち帰り、全国にこの動きが広がることだろう・・・。                                                                                                                     まずは、翌日文部科学省・厚生労働省に対し、「子ども年20ミリシーベルト」基準の撤回を求める要請を行なうことを決めた。

【文科省・厚労省交渉】                                                                                                                                                                                                                       参議院議員会館:講堂350名参加。                                                                                                       年20ミリ基準(毎時、3.8マイクロシーベルト)は、そもそも労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(毎時、0.6マイクロシ-ベルト)の6倍以上の線量。                                                                                        国内外の1074団体が撤回を求めている。                                                                                                                    「安全委員会」の20ミリ基準の決定プロセスを問う。                                                                                        4月19日の決定は、「その場に居る委員でまず論議した」「不在の委員に電話で諮り、最終的に『差し支えない』との見解をまとめた」「正式な委員会は開かなかった」「議事録は無い」(5月1日、朝日新聞)                                                                                                              「管理区域」は作業禁止域ですね、同じ20ミリシーベルト基準は「管理区域」と同等ではないのか? に対して「校庭は労働現場ではない」などという「人を食った」答弁まで飛び出した。                                                                                                                                                                                                                                                                                      そして誰も居なくなった(?)・・・。交渉の中で、同席した「安全委員会」事務方は「安全委員会として、20ミリシーベルトでよしとは誰も言っていない」なる発言が飛び出す始末。                                                                                                          交渉には、福島現地から、国が「安全だ」とする(毎時、3.8マイクロ以下だった小学校校庭など場所)から採取した土壌が持ち込まれ、官僚に「あなた! それを舐めなさいよ?」との声が上がって、官僚は顔面蒼白。当然だ!

=確認事項= 

 5月6日までに、<文科省>安全委員会の判断について、見解を示すこと。放射線管理区域と同レベルの汚染で子どもが遊ぶことについて、見解を明らかにし、文書で回答すること                                                                                                                                                                                                                                                 同日までに、<原子力安全委員会>決定過程にかかわった専門家で、20ミリシーベルトが安全とした専門家はいなかったことを公に表明すること。                                                                                                                                                         <原子力安全委員会>福島県のアドバイザーの山下俊一氏が、「100ミリシーベルトまで安全」とふれまわっていることに関して、原子力安全委員会は、事実を調査し、これが事実であるならば、指導すると述べた。これについては、即刻結果を明らかにすること。

【参考資料】

☆ 5月2日交渉詳細                                                                                                                           http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/negposq_20110502.htm                               

☆ 田中優氏講演会:『原発・放射能を正しく知るために』 USTREAM 5月2日配信                                                                                                       http://www.ustream.tv/recorded/14428383

☆ 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一氏の見解など                                                        http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-254.html

新幹線東京駅へ彼女たちを見送った。よく学び、私利でも押付けでもない邪心なき行動・どこかからの指示や誘導ではなく自らの内から湧き上がる自分の言葉、その言動に、思わず声をかけた。「あんたら、ええ女になったなぁ~」と。                                                                                                 もちろん「あなた、ええ男になったなぁ~」と返って来はしなかった。チャンチャン♪~~~

九条改憲阻止と沖縄米軍基地撤去に自分なりのスタンスで与する・脱原発へは私利やしがらみと切れて起つ・・・・、これは我が世代の責務ではないだろうか?

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