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歌「100語検索」 36、<眠>
眠
「眠」を検索した。 「眠りましょう」 「眠りの中」 「眠りたい」 「眠りなさい」 「眠れない夜」 「眠ったふり」 「眠らせるな」 「道端で眠った」と、それぞれだ。 『TAXI』の「眠れなくても」「側にいたい」に、他の歌に無いものを感じていた当時を思い出した。 1980年ころ、顔を黒く塗りタキシードという出で立ちで登場、『ランナウェイ』『街角トワイライト』などのヒット曲を唄った「シャネルズ」(鈴木雅之、田代まさし、桑野信義らが居た)。 彼らは、1983年から「ラッツ&スター」に改名して『め組の人』『Tシャツに口紅』などヒットを続け、1987年、中心メンバー、リードボーカル:鈴木雅之の姉、すでに34歳・二児の母だった鈴木聖美が型破りのデヴュー。彼女が「ラッツ&スター」と組んで世に出した曲『TAXI』(『ロンリーチャップリン』もある)は25年経った今も色褪せない「力」を秘め持っている、やがて伝説になるだろう珠玉の名曲だ。
『TAXI』における聖美の日本人離れした歌唱力・迫力には力強い母性さえ感じて圧倒されたものだ。当時友人が、夜のキタで恋に落ち(客観的には片想いだが)、相手にこの歌の主人公像を被せ、暫く(一年弱)悶々としていたのを思い出す。友人の苦しい(?)恋にウンザリしながらも、いささか屈折した感じ方のぼくは、『TAXI』のストーリーと女性主人公に、「時代」「男女」に翻弄されても闘う(?)女と、執着と未練の粘質に満ちた歌詞がかえって、その果てに在るある種の潔さや、その女性の等身大の誠実を最も想わせるという逆説・・・、それを感じていた。う~ん、いい歌です。 『 タクシーに手を上げて ジョージの店までと 土曜の夜だから Ah あなたがいそうで サヨナラした人に 逢いたくなるなんて 雨にぬれたせいかしら Ah 弱いね私も 』 歌詞は最後に 『想い出を燃やし尽くしたら 男と女には友情が残るはず』 と語るが、それが至難の業・無理筋だと知る者(主人公と女性作詞者)から聴き手への、いや主人公・作詞者・唄い手自身への、唄うひと時にのみ与えられるご褒美だと思えた。 別離の背中にへばり付く明暗・愛憎に、君が振り回されボロボロ・ヘロヘロになっていても、ひと度はマジ「向き合い」取っ組み合っていたのなら、君たちが唄う時にだけ、「**が、残るはず」と絵空言葉を差し上げましょう・・・ ってか?
『TAXI』 http://www.youtube.com/watch?v=I8uUanyBFe0 鈴木聖美 『東京ららばい』 http://www.youtube.com/watch?v=XEqL6NCAnpQ 中原理恵 『あの鐘を鳴らすのはあなた』 http://www.youtube.com/watch?v=A_2xJMuIuBI 和田アキ子 『さらば恋人』 http://www.youtube.com/watch?v=A_2xJMuIuBI 堺正章 『聖母たちのララバイ』 http://www.youtube.com/watch?v=e_hrkACNXXo 岩崎宏美 『生きてりゃいいさ』 http://www.youtube.com/watch?v=5HyvadsTPpQ 河島英五・加藤登紀子 『時には昔の話を』 http://www.youtube.com/watch?v=rIePRLjn8gs 加藤登紀子 『とんぼ』 http://www.youtube.com/watch?v=KJGfkF9LnXA 長淵剛 『想い出まくら』 http://www.youtube.com/watch?v=cSUo4OC6a8A 小阪恭子 『オリビアを聴きながら』 http://www.youtube.com/watch?v=I_9LWE3llJs 尾崎亜美 『ffフォルティシモ』 http://www.youtube.com/watch?v=vE2yB-bK2UQ 大友康平 『もうひとつの土曜日』 http://www.youtube.com/watch?v=uAdB2nxg5z8 浜田省吾 『わかれうた』 http://www.youtube.com/watch?v=TSiwK5QF398 中島みゆき 『時は過ぎてゆく』 http://www.youtube.com/watch?v=_Bwx9e994xw 金子由香利
歌「100語検索」35、 <去>
去
「去」は、場所的意味だけを言っているのかもしれない。肉体は去っても、何かは残して行くような、戻ってくるような・・・・・。 だから、「去」の前後に言葉を添えて、「去」のカタチと「去」に至った理由と覚悟を念を押して言ってしまふ。 去り行く・過ぎ去り・置き去り・立ち去り・連れ去り・忘れ去り・・・・、 消え去る、奪い去る、捨て去る、崩れ去る、拭い去る、溶け去る・・・・・。 ところが、そう添えてもなお「去」には、現在への・関係への・他者への・事象への・自己への、限りない愛惜・執着が色濃く漂ふ。 「去」った者・こととの応答は可能なのだ。逢うことはもちろん、手紙・電話・メールさえもが断たれていても、対象の生存が不確かでも、 歌の主人公はその存在へ発信を止めはしないし、その存在からのメッセージを受信し続けている。 そんな彼・彼女を嘲笑う気にはなれない。
『さくら貝の歌』 http://www.youtube.com/watch?v=oq-k9jwfyfk 鮫島有美子 『君恋し』 http://www.youtube.com/watch?v=BAROgRoNIUE フランク永井 『北帰行』 http://www.youtube.com/watch?v=WY45dJ_t9CQ 小林旭 『無情の夢』 http://www.youtube.com/watch?v=poaLmdamE1U 中村美津子 『からたち日記』 http://www.youtube.com/watch?v=CJ_Z5W91fU8 島倉千代子 『早春賦』 http://www.youtube.com/watch?v=MxJ69ZQ3uzA 坂本明佳 『君といつまでも』 http://www.youtube.com/watch?v=g5bknB4PplI 加山雄三 『今はもう秋』 http://www.youtube.com/watch?v=IgGS9OyrQks トワ・エ・モア 『夢去りし街角』 http://www.youtube.com/watch?v=wdGHVH0U_Ek アリス 『贈る言葉』 http://www.youtube.com/watch?v=S0LbBb6ObcA 海援隊 『耳をすましてごらん』 http://www.youtube.com/watch?v=xtEklmV_Sg0 本田路津子 『わかれうた』 http://www.youtube.com/watch?v=HQdBergsNZk&feature=fvst 研ナオコで 『異邦人』 http://www.youtube.com/watch?v=4mkBeoN44Og 久保田早紀(現在某教会の聖歌隊の指導者だそうです) 『さらば青春』 http://www.youtube.com/watch?v=z8ok2RXA_PM&feature=fvst 小椋佳 『愚か者よ』 http://www.youtube.com/watch?v=M9xAimsVYg0 萩原健一 『いい日旅立ち』 http://www.youtube.com/watch?v=kFlpqqA3zEo 山口百恵 『人生を語らず』 http://www.youtube.com/watch?v=rpyFkX01mZI 吉田拓郎
歌「100語検索」 34、 <散>
散
桜は嫌いだ!
別・離・忘・去・逃・棄・折・流・ちぎれ・倒 (http://www.yasumaroh.com/?cat=26 )それでも納得しない「お国」は「砕けよ」「散れ」と言っている。 「散る」はそれこそ修復不可能、命の終わりだ。
花と言えば「桜」だと、一体誰が決めたのだ。 古来、花は「梅」だったと思う。花が命を終える場面を表す日本語は実に見事にその瞬間を捉えていて感じ入る。桜は「散る」、椿は花びら全てが一気に落ちるので「落ちる」と表し、罪人の斬首を連想させて喜ばれない。 牡丹は大きすぎて自らの重みに耐えかねるように朽ち行くので「崩れる」と表す。 梅の花は独り密かに命を終えるが、その様を「こぼれる」と表し奥ゆかしい。 桜のあの散り際は、どうも騒々しい。辺り一面にこれでもかと花びらを撒き散らし、前夜までのバカ騒ぎ酒宴を呪うように人間どもに反撃している。 桜をネタに呑み騒ぐ人間(もちろん私を含む)どもも、これ見よがしに咲いた挙句過剰な反撃に出る桜も、どうも好きになれない。 桜に責任はないが、好きになれないのにはもうひとつ理由がある。 仏教用語「散華(さんげ)」を拝借僭称して、「お国」の為に命を失った人々の最期を表すに使った詐術のことだ。 「散華」:仏や菩薩が来迎した際に、讃嘆するために華を撒き散らし降らしたという故事にちなんで行なわれる。 法要などに散華が行なわれ蓮などの生花が使われていたが、蓮華を模った色紙で代用する。 ここから、「散る」に最も相応しく儚さを象徴する花を求め、日本人(?)の死生観・無常観・「もののあはれ」など儚さを美しく感じる風土感性(?)にマッチするとして、見事に散る桜の花を散華のシンボルに誰かが祀り上げた。 日本軍兵士の戦死を美化するに際して、「玉砕」とともにそれを美化する表現として「散華」が採用されたのだ。もちろん、事故・病死・空襲・非戦闘員・他国の兵士のそれは「散華」とは言わない。【ウィキペディアより要約】(靖国の合祀基準そっくりだな) そして軍国用語とされちまった「散華」のその華は下記歌謡にもある通り「桜」なのだ。 ところで、先日偶然、万葉集に登場する植物ベスト・テンを知った。(数字は登場回数)
1.はぎ(萩)141 2.うめ(梅)116 3.たちばな・はなたちばな(橘・花橘)107 4.すげ・すが・やますげ(菅・山菅)74 4.まつ(松)74 6.あし(葦)55 7.ち・あさぢ(茅・浅茅)50 8.やなぎ・あをやぎ(柳・青柳)49 9.ふぢ・ふぢなみ(藤・藤波)44 10.さくら(桜)41 「桜」は何と第10位と下位だ。
ひとはいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(紀貫之:古今集) これは、前段に、『初瀬に詣づるごとに宿りける人の家に、久しく宿らで、程経て後に至れりければ、かの家の主、かく定かになむ宿りはあると、言ひ出だして侍ければ、そこに立てりける梅の花を折りて、よめる』とあり間違いなく梅。 東風吹かばにほひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな(菅原道真:901年、京を追われるに際しての作歌とされる。拾遺和歌集) これらは梅だが、この前後から梅から桜への変遷があり、それは古今集編纂前(905年奉上)の時代だと言う。 ヤマトが全国制覇(701年。唐、列島を代表する王権として大和を認知。呼称を「倭」から「日本」に改める。旧唐書:『倭伝』のあとに『日本伝』あり。『或いは云う、日本は旧(もと)小国、倭国の地を併(あわ)せたり』と記載されている )、を成し遂げて以降、 つまり品川宿「たそがれ自由塾」が主張する「倭」(九州王権)から「ヤマト」(近畿天皇家王権)への覇者移行の後二世紀の間に、梅~桜の主役交代があり、根深い事柄だと思う(勉強不足で直感でしかありません)。 *品川塾塾頭は、紀貫之も菅原道真もよく知る古の九州王権の存在を匂わせているのではないか、と考えています。 梅は中国出自の植物で、万葉では大宰府での歌や貴族の庭に咲いているのを詠んでいて、東国の歌には登場しないそうだ。やがて桜が花の主役となった。 「桜」が、軍国日本が差し向けたサクラ(啖呵売の仕込み偽客)役の呪縛から解放され本来の桜に戻るなら、その美しさ・「あはれ」を認めもしたい。このままでは、桜の側も迷惑だろう。
『同期の桜』 http://www.youtube.com/watch?v=yY6WraxaTZk&feature=related 作詞:西条八十 『名月赤城山』 http://www.youtube.com/watch?v=rEF4UGJhHZs 東海林太郎 『この世の花』 http://www.youtube.com/watch?v=6_rSk4-EOlk 島倉千代子 『緋牡丹博徒』 http://www.youtube.com/watch?v=1r-K-FSyiBA 藤純子 『終着駅』 http://www.youtube.com/watch?v=DxRV_Txt3bw 奥村チヨ 『恋人よ』 http://www.youtube.com/watch?v=HM_2yAW_vZg 五輪真弓 『エリカの花散るとき』 http://www.youtube.com/watch?v=dParcpK1DAM 西田佐知子 『昴』 http://www.youtube.com/watch?v=I0oq0k2GfIc 谷村新司 『ひとり咲き』 http://www.youtube.com/watch?v=_cmcjSmBlXY チャゲ&飛鳥 『さくら(独唱)』 http://www.youtube.com/watch?v=KnjxtkgrFh4 森山直太郎 『島唄』 http://www.youtube.com/watch?v=DKB41krUnVU 宮沢和史
他に沢山ある。日本人は「散る」が好きなのか? 何せ、かつて人々は内に抱えた心情の行く先を「散る」へと収斂させる力学下に生きざるを得なかったのだ。戦後そこから出たはずなのだが、何やら雲行きは怪しい。そこへ行くと、女性の「散る」は「お国」の要請ではなく、己一人の決断で桜本来の「散る」を奪い返しているように聞こえるのだが、それはぼくだけか? ともあれ「散華」(パクリ、僭称の)はまっぴらだ。
『ジョニーの子守唄』アリス、 『東京流れ者』渡哲也、 『夢は夜ひらく』藤圭子、 『学生時代』ペギー・葉山、 『網走番外地』高倉健、 『湯の町エレジー』近江俊郎、 『東京ラプソディー』藤山一郎、 『伊勢佐木町ブルース』青江美奈、 『からたち日記』島倉千代子、 『花咲く乙女たちよ』舟木一夫、 『空に星があるように』荒木一郎、 『花と蝶』森進一、 『大利根無情』三波春夫。
歌「100語検索」 33、 <倒>
倒
ことわざ には間逆の言い回しがあって、その両方ともに当たっているからこそ聞くこともできる。 「善は急げ」「急がば回れ」、 「早起きは三文の徳」「家宝は寝て待て」、 「嘘も方便」「嘘つきは泥棒の始まり」、 「二度あることは三度ある」「三度目の正直」、「血は水よりも濃し」「遠くの親戚より近くの他人」、「渡る世間に鬼はなし」「人を見たら泥棒と思え」、 「女房と畳は新しい方が良い」「女房と味噌は古いほど良い」、 「衣食足って礼節を知る」「武士は食わねど高楊枝」、 「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「君子危うきに近寄らず」、 「転ばぬ先の杖」「見る前に跳べ」・・・ などなど。 「七転び八起き」と「七転八倒」をそのようだと言った君、それは違うよ。辞書によれば、 「七転び八起き」:何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力すること。転じて、人生の浮き沈みの激しいことのたとえとして用いることもある。 「七転八倒」:激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。転んでは起き、起きては転ぶこと。 云わば、前者は再起・復権への挑みの精神を言い、後者はその過程の痛みや現実的肉体的痛みも言っている。 面白いのは、昔あったTVコマーシャル。曰く「戸締り用心、火の用心」「人類はみな兄弟」 ん? 戦後社会の闇のフィクサーと呼ばれた御仁とガイジン力士が出ていたな~。 おい、用心しないと兄弟こそ不法侵入するぞ!というブラック・ユーモア格言かい?
『わかれうた』 http://www.youtube.com/watch?v=GG10MYX9Tl4 中島みゆき(真木よう子PhotoStoryより) 『それは愛ではない』 http://www.youtube.com/watch?v=G80Xdu0l-Dg 中島みゆき 『チャンピオン』 http://www.youtube.com/watch?v=uSQZJ87huNU アリス 『終らない夏』 http://www.youtube.com/watch?v=QAfdlV2gUiU 岡村孝子 『青空』 http://www.youtube.com/watch?v=ly1sB2yS_sc&feature=fvst TheBlueHearts 『Hold Your Last Chance』 http://www.youtube.com/watch?v=nzvAzKyV-GA&feature=related 長渕剛 『異国の丘』 http://www.youtube.com/watch?v=9hkoI_r3MLM 竹山逸郎 『赤と黒のブルース』 http://www.youtube.com/watch?v=BAEQz-EgJWc 鶴田浩二 『踊り子』 http://www.youtube.com/watch?v=naRutIIc_DI 村下孝蔵 『時代』 http://www.youtube.com/watch?v=xlbIsyiZMAo&feature=related 中島みゆき
歌「100語検索」 32、 <ちぎれ(る、た)>
ちぎれ(る、た)
ちぎれたモノは、補修してもその修復接合部の不自然が顕わになってしまい、人に判るほどだったりする。 隠すことはない。補修したと公言して臨めばいいのだ。 だが、人の世には現実的方法では修復できないほどの「ちぎれ」も、稀だが確実にあるのだ。その時、 人は、ちぎれて在る現象的事実関係を修復するのではなく、別の回路で繋って行ける方法を探し始める。 その回路に詩があり、短歌があり、小説があり、演歌があり、音楽があり、絵画があり、陶芸があり、彫刻があり・・・・・・・・・ およそ表現行為の全ては、「ちぎれ」の修復技術などではないはずだ。その営みは、国・宗教・党派・企業・団体・親類縁者・家・その他一切の己以外のものから統制・誘導・指図されるいわれはない!
『暁に祈る』 http://www.youtube.com/watch?v=TNQAxljREDk 伊藤久男 『別れの朝』 http://www.youtube.com/watch?v=tVzCO-dHOQQ 高橋真梨子 『僕は泣いちっち』 http://www.youtube.com/watch?v=7Ua5YtGldxw 守屋浩 『霧の摩周湖』 http://www.youtube.com/watch?v=Irpk9gpz8R8 布施明 『雨に泣いている』 http://www.youtube.com/watch?v=7KEqTbAoVEU 柳ジョージ 『絆』 http://www.youtube.com/watch?v=3c7nsR6F4ds 長渕剛 『ルビーの指輪』 http://www.youtube.com/watch?v=n2cdgo86Hzo 寺尾聰 『風速四十米』 http://www.youtube.com/watch?v=rA4yNwCf3KM 石原裕次郎 『北の旅人』 http://www.youtube.com/watch?v=YxBH9qh3BhE 石原裕次郎、テレサ・テン 『立ちどまるな ふりむくな』 http://www.youtube.com/watch?v=UD0tLT9ytqM 沢田研二 『挽歌』 http://www.youtube.com/watch?v=cMsgu_eiJfQ 高倉健・八代亜紀 『望郷酒場』 http://www.youtube.com/watch?v=9cOR68mMVgk 千昌夫
歌「100語検索」 31、 <流>
流
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 (漱石『草枕』冒頭)
「流」(れるの)は時や時代や季節や泪や心、人々、であっても、「流」(されるの)は、「流」(す)当事者はもちろんだが、 遺棄され曖昧にされちまう、「流」(されて)しまふ事態・事柄の核心たちに違いない。 秋元というAKB画策者:流れに乗るを本分とする輩が、いくら「川の流れのように」と唄ってくれても「じゃかましい!」と返したい。漱石先生は「智」と「情」と「意」が現実の「世」を生きることの困難を言ったのだが、その「世」との和解の勧めを説いたのではない。 (蛇足:「情に棹させば」のくだりは「流れに逆らう」と誤読されるが、「情」に沿って「舟を進める」の意) ところで、日本の歌謡には「流」が多すぎるぞ!(多すぎて、アップ不可能。歌詞たちは際限なく「流」し続けている)(紙面の都合上10曲に絞ります)。 日本人は大切なことを「流」してしまうのか? ここは「意地」を通したい。「流」(れ、され)るリスクを負ってでも、まっとうな「情」に与したい。 「流」(す、れる、される)しかない事態や事柄を覚悟して歌った曲・歌詞や唄い手に出会えることもあるから、歌は「流」してしまえはしない。
『川の流れのように』 http://www.youtube.com/watch?v=3wmIrAFKLs0 美空ひばり 『川は流れる』 http://www.youtube.com/watch?v=BKB2qGM41X0 仲宗根美樹 『東京流れ者』 http://www.youtube.com/watch?v=cZe5WSLeYDM 渡哲也 『星の流れに』 http://www.youtube.com/watch?v=2ChBdN6CwSM ちあきなおみ 『酔いどれ女の流れ歌』 http://www.youtube.com/watch?v=sgmGH5fuGXw みなみらんぼう 『木綿のハンカチーフ』 http://www.youtube.com/watch?v=2FK0Tj1sXEQ 大田裕美 『卒業写真』 http://www.youtube.com/watch?v=hyGmy4m_BTA&feature=related 松任谷由美 『春なのに』 http://www.youtube.com/watch?v=kBv62_KCacs 柏原芳恵 『みちのく一人旅』 http://www.youtube.com/watch?v=WrQg1u5v5O8&feature=related 山本譲二 『二人でお酒を』 http://www.youtube.com/watch?v=K7aIVWLIxa8 梓みちよ 『粋な別れ』 http://www.youtube.com/watch?v=tm4kQWq_Umg&feature=related 石原裕次郎 『愛燦燦』 http://www.youtube.com/watch?v=20IutvIryNo 小椋佳 『熱き心に』 http://www.youtube.com/watch?v=xv6HojYeo9E 小林旭 『学生街の喫茶店』 http://www.youtube.com/watch?v=Cuu9YK8d4L4 ガロ 『フレンズ』 http://www.youtube.com/watch?v=v8dOLnEs92s NOKKO 『花』 http://www.youtube.com/watch?v=LzHaYPhu0nA おおたか静流 『時は過ぎてゆく』 http://www.youtube.com/watch?v=coiXF-PqgGQ 金子ゆかり
他に、『時は流れて』 『精霊流し』 『お座敷小唄』 『湯の町エレジー』 『赤坂の夜は更けて』 『いつでも夢を』 『湖畔の宿』 『涙を抱いた渡り鳥』 『湯島の白梅』 『悲しい色やね』 『そっとおやすみ』 『ルビーの指輪』 『島人ぬ宝』 『青春の城下町』 『無縁坂』 『桜坂』 『悲しくてやりきれない』 『夢追い酒』 『昔の名前で出ています』 『アカシアの雨がやむとき』 『水色の雨』 『港町ブルース』 『雨がやんだら』 『さすらい』 『船頭小唄』
歌「100語検索」 30、 <折>
折
ポケットで折れていたハイライト(『狂った果実』)。うん、うん、そうかいそうかい。 かけがえのない「あの日あの時」を折れるほど抱きしめたい(『夢去りし街角』)のかい。 けれど、木村友衛は「折れた情け」に充ちた人生、「男」ではなく「女」の人生こそが「浪花節」だと言っている。 中村あゆみは、折れた翼を修復して翔ぼうぜと言っている。あるいは、翔べなくてもいいんだよと言っている。
『狂った果実』 http://www.youtube.com/watch?v=yAFFEMCukA4 アリス 『風雪ながれ旅』 http://www.youtube.com/watch?v=LeR9i3cpt8o&feature=related 船村徹 『浪花節だよ人生は』 http://www.youtube.com/watch?v=yhiWf1A4DnE テレサ・テン 『浪花節だよ人生は』 http://www.youtube.com/watch?v=wpwv3whJZ1M&feature=related 木村友衛 『恋唄』 http://www.youtube.com/watch?v=W8Ax2yDitJY 前川清 『うそ』 http://www.youtube.com/watch?v=JvQkY6raPH0 中条きよし 『難破船』 http://www.youtube.com/watch?v=ski722P1368 加藤登紀子 『めまい』 http://www.youtube.com/watch?v=NLsL9eUKLRQ 小椋佳 『夢去りし街角』 http://www.youtube.com/watch?v=bR70yHuQp5A&feature=fvst アリス 『翼の折れたエンジェル』 http://www.youtube.com/watch?v=oRiZUJ5evZ8 中村あゆみ
<ウィキペディアより> 【浪花節だよ人生は】 最初は1976年(昭和51年)に小野由紀子の歌唱によりシングルのB面曲として発表された。その後この曲の歌詞を自分の人生の引き写しのように感じたという木村友衛が藤田に直訴して1981年(昭和56年)に歌い始めると、地道なキャンペーンの努力が実り徐々に人気を獲得するようになった[1]。これを受けて歌手16人[2]、レコード会社13社[3]による競作としてレコードが制作され、1984年(昭和59年)にその人気は最高潮に達した。同年の第35回NHK紅白歌合戦では水前寺清子と細川たかしによる同曲対決が行われ、第26回日本レコード大賞では細川が最優秀歌唱賞を、木村が特別賞を受賞した。
【浪花節】 浪花節は古くから伝わる浄瑠璃や説経節、祭文語りなどが基礎になって、大道芸として始まった、その後明治時代初期、大阪の芸人・浪花伊助が新しく売り出した芸が大うけして、演者の名前から「浪花節」と名付けられた。(浪花節と言われ始めたのは1872年頃と言われている。)「浪曲」と呼ぶようになった理由は諸説あり定かではない。東京では関東節の祖と言われる浪花亭駒吉や横浜で祭文語りで活躍していた玉川派の祖と言われる青木勝之助が東京の寄席に出演し人気を博し浪花節は全国的に広まった。以後、桃中軒雲右衛門や二代目広沢虎造の活躍で戦前まで全盛を迎えた。太平洋戦争後は娯楽の多様化で衰退し現代まで続いているが、現代に合う新しいスタイルを模索している。
庶民的な義理人情に訴える作品が多い事から、転じて「浪花節にでもでてきそうな」という意味で、義理に流された話を「浪花節的な」あるいは単に「浪花節」と比喩することも多いが、実際は武芸物、出世物、任侠物、悲恋物、ケレン物(お笑い)など多種多様である。
現在、浪曲の定席は東京都台東区浅草の「木馬亭」と、大阪府大阪市天王寺区の「一心寺門前浪曲寄席」がある。
【歌100語検索(ここまでの語):1~30】 http://www.yasumaroh.com/?cat=26 1~10: 川、空、夜、時、遠、時-2、砂、雨、風、港。 11~20: 夢、人生、道、手紙、愛、愛-2、忘、恋、別、友。 21~30: 季節、歩、走、帰、行、追・逃、変、待、捨(棄)、折。
歌「100語検索」 29、 <捨(棄)>
捨(棄)
「追」「逃」「変」の<動>的に対して、「待」を<静>的かな?とあげて思った。 その<動>と<静>両方の執着の、いずれも拒否(断念・放棄)する構えが、「捨」(「棄」)や「断」(ち)「切」(る)なのか・・・、と。 検索してみて、(日本の)歌の「捨(棄)」の多さに驚かされる。「歌詞」たちは夥しい数の事情や心情、物や者を「捨」(「棄」)てて来た。 (下記記載の通りワンサカ・・・。多すぎるので、YouTubeから18曲だけ 転載) 「そうかも」と思わせもする「煩わしさ」(「襟裳岬」)、「24色のクレパス」(「神田川」)、「飾り荷物」(「ホームにて」)など心当たりがあって苦いものや、 捨て得る程度だったのか・・・と想像してしまう「涙」「恋」「夢」「想い出」「昨日」も無くはない。 それらを脱ぎ「捨」て振り「捨」て投げ「捨」て、見「捨」てて、人は明日を生きようとして来た。 「愛する人(に紙くずみたいに)」とか「この俺(を捨てろ)」とか「(あなたを捨てたわけじゃない)弟」などと重く切実なモノを持ち出されては困ってしまうが、作者は実は、いずれも「捨」(「棄」)てられないモノを唄っているのだ。 一見捨て得る・捨てるべき・血反吐を吐いても捨てざるを得なかったと、そこで唄われているモノたちと、作者との関係は終っていないに違いない。捨てられない・・・と独白する絞り声が聞こえて来る。 けれども、誰も(ぼくならぼくも)対象の言い分を聞かぬまま「捨」(「棄」)ててしまったモノを確実に抱えているわけで、その記憶は曖昧で、そのままの今日なのだ。 歌は、それらを呼び覚ますから、時にキリキリと痛たかったりする。
『無情の夢』 http://www.youtube.com/watch?v=sAHHC9nysRg 児玉好雄 『酒は涙か溜息か』 http://www.youtube.com/watch?v=ji1Arw5H7QY 藤山一郎 『かえり船』 http://www.youtube.com/watch?v=myDgvXaGsGs&feature=related 田端義夫 『どうせ拾った恋だもの』 http://www.youtube.com/watch?v=LDgIH13WV7Y コロンビア・ローズ 『東京ブルース』 http://www.youtube.com/watch?v=VMakJXr1z5w 西田佐知子 『ひとり酒場で』 http://www.youtube.com/watch?v=_cd_edXCTNU 森進一 『知り過ぎたのね』 http://www.youtube.com/watch?v=8JGPLS7rn6s ロス・インディオス 『今さらジロー』 http://www.youtube.com/watch?v=sazVqZsWUEE 小柳ルミ子 『あなたならどうする』 http://www.youtube.com/watch?v=DVkqBiXuD4s いしだあゆみ 『弟よ』 http://www.youtube.com/watch?v=03zftJ6vbeY 内藤やす子 『ボギーボビーの赤いバラ』 http://www.youtube.com/watch?v=O1QbFI3p01g 中島みゆき 『悪女』 http://www.youtube.com/watch?v=xq_sjOcZ-zs 中島みゆき 『ひとり上手』 http://www.youtube.com/watch?v=7tUSOgrY65g 中島みゆき 『春なのに』 http://www.youtube.com/watch?v=ykE-z7Ltpdk 中島みゆき 『ララバイ横須賀』 http://www.youtube.com/watch?v=pEFCYKY8-Aw 山崎ハコ 『シェリー』 http://www.youtube.com/watch?v=lCeTvDr85CA 尾崎豊 『浪速節だよ人生は』 http://www.youtube.com/watch?v=SIEyD9Xl_vo 木村友衛
『かなりや』 童謡・作:西条八十、 『上海帰りのリル』 津村謙、 『人生の並木路』 ディック・ミネ、 『湖畔の宿』 高峰三枝子、 『好きだった』 鶴田浩二、 『ハイ、それまでよ』 植木等、 『未練の波止場』 松山恵子、 『だから言ったじゃないの』 松山恵子、 『俺は淋しいんだ』 フランク永井、 『羽田発7時50分』 フランク永井、 『夜霧の第二国道』 フランク永井、 『ろくでなし』 越路吹雪、 『港町涙町別れ町』 石原裕次郎、 『別れのサンバ』 長谷川きよし、 『花嫁』 はしだのりひこ、 『星の砂』 小柳ルミ子、 『女のみち』 ぴんから兄弟、 『神田川』 かぐや姫、 『さらば恋人』 堺正章、 『襟裳岬』 森進一、 『化粧』 中島みゆき、 『雨が空を捨てる日は』 中島みゆき、 『ホームにて』 中島みゆき、 『海よ』 中島みゆき 『あの日に帰りたい』 松任谷由美、 『くちなしの花』 渡哲也、 『東京流れ者』 渡哲也、 『そして神戸』 前川清、 『長崎は今日も雨だった』 前川清、 『迷い道』 渡辺真知子、 『終着駅』 奥村チヨ、 『時代遅れの酒場』 高倉健、 『思案橋ブルース』 中井・高橋コロラティーノ、 『昭和枯れすすき』 さくらと一郎、 『夢追い酒』 渥美二郎、 『ルビーの指輪』 寺尾聰、 『ひと夏の経験』 山口百恵、 『悲しい色やね』 上田正樹、 『大阪で生まれた女』 ボロ、 『涙をふいて』 三好鉄生、 『時の流れに身を任せ』 テレサ・テン、 『ストリッパー』 沢田研二、 『遠くで汽笛を聞きながら』 アリス、 『非情のライセンス』 中森明菜、 『氷雨』 日野美歌、 『さんげの値打ちもない』 北原ミレイ (以上YouTubeにあります。検索してみて下さい)
棄 『悲しい酒』 http://www.youtube.com/watch?v=tRgCUMDQvNE 美空ひばり 『ノラ』 門倉有希、 『東京砂漠』 前川清、
歌「100語検索」 28、 <待>
待
「追」「逃」「変」には(たぶん「去」「離」にも)在るのだろう<動>的構えを、採らない・採れない<静>的構えが「待」だろうか? 「待」に潜むらしい、ある種の「能動性」に気付かされたのは歳を食ってからか・・・。 「待」つ側と「待」たせる側を繋いでいる、儚い「期待」と危うい「信頼」で編まれた細い紐は、ちぎれそうに揺れている。 思い出すのが『走れメロス』誕生譚だ。 昔、太宰が執筆の為と称して、親友:檀一雄と熱海だったかどこかの温泉旅館に陣取り、書き始めるのだがどうにもはかどらずに居る。 地元の遊び人らとマージャン三昧に及び、負けが込んで金を作る必要に迫られる。 人質として檀を残し、太宰が東京へ戻り金策に奔走することに・・・。檀は云わば拉致状態。が、待てど暮せど太宰は戻って来ない。 檀は方々へ連絡してみるが、太宰の行方も行動も掴めない。今日のように携帯電話などありはしない。 イライラ・ハラハラして待つ檀の許へ、ようやく金を携えて太宰が戻って来る。 「遅いじゃないか!」「連絡も寄越しやがらず!」と叱責する檀に返した太宰のひと言。 『待つが苦しいかね? 待たせるが苦しいかね?』 やがて後日、『走れメロス』が書かれることとなる。
『待ちぼうけ』 http://www.youtube.com/watch?v=qxP-klxijRw 童謡(歌:唐澤まゆこ) 『宵待草』 http://www.youtube.com/watch?v=xU4Y0PvjsOs 竹久夢二作(歌:倍賞千恵子) 『すみだ川』 http://www.youtube.com/watch?v=fAEH5Gmoo_M 東海林太郎・田中絹代 『君待てども』 http://www.youtube.com/watch?v=tJU3up4uUz8 平野愛子 『東京ラプソディー』 http://www.youtube.com/watch?v=CdzyLnBbf5g 藤山一郎 『異国の丘』 http://www.youtube.com/watch?v=9hkoI_r3MLM 竹山逸郎 『俺は待ってるぜ』 http://www.youtube.com/watch?v=BLmL0j4vhaY 石原裕次郎 『ジョニーへの伝言』 http://www.youtube.com/watch?v=aE5guwwEi38 高橋真梨子 『昔の名前で出ています』 http://www.youtube.com/watch?v=8CSsKDeAXSY 小林旭 『待つわ』 http://www.youtube.com/watch?v=0nvBPQhKqRo あみん(岡村孝子・加藤晴子) 『なごり雪』 http://www.youtube.com/watch?v=lGmh-cVIsFM イルカ 『さくら』 http://www.youtube.com/watch?v=CiD9QHPSWDs 森山直太郎 『まちぶせ』 http://www.youtube.com/watch?v=zSVR-h5RKbA 荒井由美 『もうひとつの土曜日』 http://www.youtube.com/watch?v=uAdB2nxg5z8&playnext=1&list=PLAFC113FBB82406BA 浜田省吾 『冬を待つ季節』 -YouTubeには消されてありませんでした。- 中島みゆき 『この空を飛べたら』 http://www.youtube.com/watch?v=6n_zDrnF–s 中島みゆき、加藤登紀子
歌「100語検索」 27、 <変>
変
「追」でも「逃」でもない構えに、「変」「転」があり、 「去」「離」「消」があり、「待」「留」「止」がある。 本日のお題は「変」です。 「追」ではなく、「逃」でもない。「変」なのだ。
『北の宿から』 http://www.youtube.com/watch?v=7vGZxrTRbUY 都はるみ 『私の名前が変わります』 http://www.youtube.com/watch?v=lRg-UjIsmyI&feature=related 小林旭 『ヤマトナデシコ七変化』 http://www.youtube.com/watch?v=dzEZAmini-A 小泉今日子 『六本木心中』 http://www.youtube.com/watch?v=37YWdRj-k_E アン・ルイス 『人生一路』 http://www.youtube.com/watch?v=0rVdtFNFsMA&feature=related 美空ひばり 『壊れかけのRadio』 http://www.youtube.com/watch?v=3u22w9YHtgk&feature=related 徳永英明 〃 http://www.youtube.com/watch?v=gHVkEL114o0&feature=related 〃 『美・サイレント』 http://www.youtube.com/watch?v=lkbyI9iUVDs 山口百恵 『世情』 http://www.youtube.com/watch?v=59GleMhJ98U 中島みゆき