Archive for 1月, 2017
たしがれ映画談義: マーチン・スコセッシ二作 イエスに関して
K・Tさん帰米されましたか? 過日はマーチン・スコセッシが『沈黙』を映画化したを機に原作:遠藤周作『沈黙』のブックレビューをおおきにでした。 吉本隆明『マチウ書試論』を半端に持ち出したりして、残識の徒が遠藤の真意は「正邪二元論・一神教・原理主義・各相の決定論という西欧思想に対する東洋的異論(アンチ決定論=相対論)だと思う」という主旨を述べました。それこそが「救い」だとも言いました。 キリスト者でないばかりか、キリスト教をよく知りもせず失礼しました。
ところで、マーチン・スコセッシと言えば、全世界で上映阻止運動が巻き起こった『最後の誘惑』(日本公開1989年)をご存知か? ウイリアム・デフォーが見事なイエス役だった。 ここで、スコセッシは、 今は娼婦に身をやつすマグダラのマリアは、若き日のイエスの恋人だった。かつてイエスは、彼女を振り切って求道の道へ進んだのだ。又、イエスの生業は、同胞ユダヤ人の棺桶・十字架作りであった。この2つがイエスの臓腑の底に棲み付いているとした。
駄エッセイ: 『母と娘-高橋真梨子さんの壮絶母子』
【母と娘】
同居人が、金曜日夜、しばしば中居正弘がMCをするTBS「金スマ」を観ている。出演しているコメンテーター:大竹しのぶ・室井佑月の濃いファンだからだ。
6日、激痩せの高橋真梨子さんが出ていた。再現ドラマで、ワシが知らなかった彼女と母の壮絶な人生が映し出された。
ヒロシマ・18歳と16歳で結婚した両親・大好きだったジャズマンの父・原爆が原因かもしれない父の足傷から壊死~両脚切断・両親の別居・母の水商売~男性関係~離れはしないDV男・何度も目撃した男の暴力・両親の離婚・父の死・母との確執・どうしても母を赦せなかった日々・・・。
高橋真梨子さんの歌に在る、ある「憂い」の背景を知った。あの抜群の歌唱力で、恋を唄い、愛を唄い、別離を唄い、生きていく女の希望を力強く唄っても、彼女の歌唱と表情には拭えない「陰」が宿っていた。
母が最晩年に好きだった、真梨子さん作詞の『フレンズ』、その唄い出し
「煌めいていた そして戸惑う青春だった」は書き直されたものだそうだが、書き替えられる前の原歌詞は
「修羅のごとく生きた 青春の抜け殻」だそうで、母はその原歌詞が好きだったのだ。
余命宣告を受けた母を、東京に呼び寄せ同居するが、数か月後母は涯てる。
いま、「あぁ、あの歌詞こそは母の青春だったのだ」と想うのだ。
ふと、2015年95歳で他界した我が母の晩年の歌を思い出す。
「みれん断ち実母に返すが此の稚児の 幸せならんと諦めし乳母」
「乳母里より付き人のごと添いて来し 田舎人形夜ごと抱きしよ」
「いつの間にか姿消したる縞木綿の 人形恋いて泣きし幼日」
「父の里に預けしわれを疎みたる 母の胸中識る年となる」
幼い日から幾度も聞かされたが、永く不幸な母子関係だった。世に幾万とあろう、永く心からの和解はできなかった母と娘の確執。そして「それ」を超える心・・・。
高橋さんは自らの半生を根拠地に類まれな歌唱をものし、そして歌の力、唄う力を得て「それ」を超えたと思う。 我が母は超えたろうか?
高橋真梨子(1949年生まれ67歳):
「ジョニィへの伝言」「五番街のマリーへ」「あなたの空を翔びたい」
「for you…」「はがゆい唇」「桃色吐息」「ごめんね…」「フレンズ」
品川塾誇大史: ウラジオストックの新石器時代~縄文期の黒曜石
友人たちが7月に一週間前後、極東ロシアを旅すると聞いた。
「日露」戦争跡地巡りでも、「北方領土」からみや昨今の日露の極東資源開発・経済協力の事前調査でもないことは確かだ。
21世紀の東アジアを俯瞰し、尖閣問題・いわゆる「中国の赤い舌」問題に限らず地政的課題、経済的相互協力(依存)的課題、文化・民族的課題、20世紀の歴史を共同の東アジア史として見つめ、中日・朝日・韓日・露日の現実的な壁・制約と可能性を肌で感じたい、とのことだと聞いた。諸事情で行けないが、興味があって羨ましい。
ワシの興味とは、短期間の旅で何かを掴める質のものでないが、21世紀だからこそ、100~150年の近現代や500年や1,000年の単位の時間ではなく、地図的だけでなく時間的にも俯瞰したいとの積年の「黒曜石」ロマンとでも言うべき妄想だ。
過去ブログから転載する。
青森県青森市の4,500年前から3,000前だろうと言われている、有名な三内丸山縄文遺跡には大型家屋(集会施設か)の構造柱の巨木(栗=腐りにくい)・糸魚川のヒスイ・長野県霧ヶ峰の黒曜石・新潟のアスファルト(防水剤)などが出土していて、この地の集団の交易圏の想像以上の広さが実証された。
同時期かそれ以前の生活用具のひとつ石鏃(ナイフやヤジリとして実用)が、ウラジオスットクから出土している。石鏃の素材は「黒曜石」で、ガラス質でスライスし易いが強度もあり石器時代から刃物として使われて来たと言う。その成分は、二酸化珪素・酸化アルミニウム・酸化ナトリウム・他で、現在の分析技術では成分構成比や混合成分から、その産地が特定できるのだ。
ウラジオストック出土の「黒曜石」土器だが、分析の結果、果せるかなその産地は、何と島根県隠岐だった。
縄文期、あの内海―――日本:日本海、韓国:東海、共和国朝鮮:朝鮮東海、中国:日本海のようだ――を、交通路とする文化・交易の実態があったことが、浮かび上がる。
縄文期の伝承らしいと言われている、出雲の「国引き神話」で北や西の国を『引く』のも「交易権樹立」の事績の伝承と読み解けば、あながち絵空事だとは言い切れまい。
話は飛ぶがうんと下った時代の、近畿天皇家による九州王権の歴史・神話・伝承・文化・他の強奪・剽窃の歴史・・・・。
ある勢力の東征(九州一派の大和入り)、邪馬壱国、九州王者磐井への近畿継体政権の叛乱(教科書は「磐井の乱」と記述)、聖徳太子&遣隋使の虚構(阿蘇山あり、故なくして火を噴き云々)の真実、壬申の乱の実際、の聞きかじり情報を縷々申し上げて来た。
また、縄文期の実態と「あの海」を巨大な内海とする文化圏のことも素人なりに言って来た。おおかたは、「現情勢に関係ないやろう?」との反応だった。
「現情勢に関係して来ている」ではないか?!21世紀~22世紀、それらが明らかになって行くか?
http://www.furutasigaku.jp/jfuruta/kaihou54/furuta54.html
貴兄は何処だったかで「考古学研究者」と名乗って居られたから専門家でしょうが、素人のワシにはここでの論旨=(ウラジオ出土の黒曜石の産地は隠岐だった。縄文期あるいはそれ以前から、日本名:日本海を内海とする交易圏が存在した)=は、空理空論ではないと思います。
出来れば、この論のどこが空理で何が空論なのか、教えて下さい。