ほろ酔い交遊録: 「青春の門」、藤圭子、宇多田ヒカル・・・
中西和久さんより
先月、五木寛之さんにインタビューしてから改めて『青春の門』を読み直した。筑豊篇から早稲田大学に入学して苦学する自立篇くらいまでかと思っていたら、放浪篇、堕落篇、望郷篇、再起篇そして挑戦篇と、けっきょく7篇まであって現在8篇目の風雲篇で休筆になっているとのこと。次の展開がまちどおしい。
ちなみに7篇目の終わりは主人公の信介は北海道からシベリアの大地に船出しようとするところ。恋人の織江は演歌歌手として全国キャンペーンの旅をはじめたところ。信介25歳。織江23歳。二人の青春がこれからどのように展開してゆくのか …。
そこで藤圭子。
この小説のたしか6編目でこの「旅の終わりに」が売り出し前の織江の持ち歌として登場する。この曲は以前冠二朗の唄でヒットしたが作詞が立原岬となっていたので、小説の中に登場したのが不思議だった。他の人が作った歌詞を引用するのなら断りがあるはず…と思っていたら、立原岬=五木寛之さんでした。そう言えば『青年は荒野をめざす』も五木さん。歌謡曲、流行歌も数多く手掛けていらっしゃる。
『青春の門』7篇を読み終えてこの『旅の終わりに』を聞いてみると、この長編小説の場面場面が走馬灯のように浮かんでくる。さらに、藤圭子の歌声。どこかなげやりのようだが極めて丁寧に歌っている。作中の織江の声は、ひょっとしてこれではないかと思えてくる。
藤圭子。宇多田ヒカルのお母さんといった方が若い世代にはわかりやすいかもしれない。2013年、自ら命を絶った。うまい歌手がひとりいなくなった。
ちなみに7篇目の終わりは主人公の信介は北海道からシベリアの大地に船出しようとするところ。恋人の織江は演歌歌手として全国キャンペーンの旅をはじめたところ。信介25歳。織江23歳。二人の青春がこれからどのように展開してゆくのか …。
そこで藤圭子。
この小説のたしか6編目でこの「旅の終わりに」が売り出し前の織江の持ち歌として登場する。この曲は以前冠二朗の唄でヒットしたが作詞が立原岬となっていたので、小説の中に登場したのが不思議だった。他の人が作った歌詞を引用するのなら断りがあるはず…と思っていたら、立原岬=五木寛之さんでした。そう言えば『青年は荒野をめざす』も五木さん。歌謡曲、流行歌も数多く手掛けていらっしゃる。
『青春の門』7篇を読み終えてこの『旅の終わりに』を聞いてみると、この長編小説の場面場面が走馬灯のように浮かんでくる。さらに、藤圭子の歌声。どこかなげやりのようだが極めて丁寧に歌っている。作中の織江の声は、ひょっとしてこれではないかと思えてくる。
藤圭子。宇多田ヒカルのお母さんといった方が若い世代にはわかりやすいかもしれない。2013年、自ら命を絶った。うまい歌手がひとりいなくなった。
橋本康介より
時代を、筑豊を、戦後を、切り取り刻印した、戦後昭和一級の「青春小説」だと思っています。時代を共有し・構えを共感できる物語だと想っています。
橋本康介より
偶然、昨夜NHK「SONGS」は、宇多田ヒカル特集でした。
司会が糸井重里なんですが、ン年振りに「とと姉ちゃん」の主題歌『花束を君に』で歌唱を再開したヒカルに具わっていいる、母譲りの「媚びない」「動じない」存在感は、世渡りチンピラ野郎=糸井をますます小さく見せて小気味良かった。
『花束を君に』は自死した母藤圭子さんへの「手紙」のようなものなんだと聞きました。なるほどと想った途端、ワシ号泣!
普段からメイクしない君が薄化粧した朝
始まりと終わりの狭間で
忘れぬ約束した
花束を君に贈ろう
愛おしい人 愛おしい人
どんな言葉並べても
真実にはならないから
今日は贈ろう 涙色の花束を君に
毎日の人知れぬ苦労や淋しみも無く
ただ楽しいことばかりだったら
愛なんて知らずに済んだのにな
花束を君に贈ろう
言いたいこと 言いたいこと
きっと山ほどあるけど
神様しか知らないまま
今日は贈ろう 涙色の花束を君に
両手でも抱えきれない
眩い風景の数々をありがとう
世界中が雨の日も…
画像は「母」に似て来た最近の宇多田ヒカルさん。