ぼやき: 島尻の「歯舞」読めずの深淵

政府答弁書までウソをつくようでは安倍首相もおしまいだ
2016年2月20日  天木 直人

 島尻安伊子沖縄・北方領土担当大臣が北方4島の一つである歯舞諸島を読めなかったことは、おもしろおかしく報道されて、もはや日本人で知らない者はいない。

 テレビで流されるあの時の映像を見れば、島尻大臣が読めなかった事は明らかだ。

どう読むのか教えてくれと側近にささやいてる声まで流されていた。

それにもかかわらず、安倍内閣は19日の閣議で「読み方を知らないと言う事実はない」とする政府答弁書を決定したという。

いくら安倍首相が嘘つきだと言ってもこの嘘はない。

嘘をつくことはその場限りで終わってしまう。

国会答弁の修正はできる。

しかし閣議決定を経た上の政府答弁書は公文書として永久に残る。

政府答弁書を修正するなどということはあり得ない。

安倍首相の嘘もここに極まれりだ。あまりにも愚かだ。

読めませんでした、そんな政治家を担当に任命した私の責任です、と正直に認めれば国民は許したろうに。

正直になれない安倍首相はこれで終わりである(了)

島尻 - 歯舞

旧唐書:『日本国は、倭国の別種なり。その国、日のヘリに在るが故に、日本を以って名と為す。あるいは曰く、倭国自らその名の雅びならざるをにくみ、改めて日本と為す、と。あるいは云う、日本はもと小国にして倭国の地をあわせたり、と。その人にして朝に入る者、多くは自ら大なるをほこり、実を以って対せず、故に中国はこれを疑へり。また云う、その国界は東西南北各数千里、西界と南界は大海にいたり、東界と北界には大山ありて限りとなす。山外はすなわち毛人の国なり。』                        読み解けば、「日本」は倭国とは政権が別の国家で、倭国よりは日に近いすなわち東に存在し、しかも倭国がなんらかの理由で衰えたのを合併し、列島の統一王権を形成した国である、と言うことができる。 その国とは、紛れもなく「大和王権」であろう。
倭国が日本に併合され統一国家が生まれたのは、上の<倭国>記事の最後の年号・貞観22年すなわち648年と<日本>記事最初の年号・長安3年すなわち703年の間のことである。648年から703年の間に生起した九州倭国を揺るがせた大事件と言えば、663年の「白村江の戦い」の他にはない。したがって前の段落で「なんらかの理由で衰えた」原因こそがこの「白村江の戦い」でなければなるまい。戦いは海戦で、倭国の水軍400艘が海の藻屑になったと言われる消耗戦であった。これにより九州倭国は立ち直れないほどの痛手をこうむったのである。
そのために対外的には倭国として権力を振るってきた九州国家は勢いを失い、変わって畿内大和王権が「日本」という新国家体制(唐の制度にならった律令体制)を建設し、列島を統一したのであった。おおむね天武王朝から文武王朝の時代にかけてそれは完成したと見てよい。やがて、列島支配の大和覇権は、8世紀(700年代)末の蝦夷地への強奪戦(アテルイ vs 坂上田村麻呂軍)へと至る。島尻が蝦夷地「歯舞」を読めないことの深層は、文字通り「深い」。

アカデミズムがある種の「徒弟制」で成り立っており「ムラ」で論じた学績を教授になった途端「ゴメン、今までのは嘘です。実は…」とは絶対ならず、原子力ムラのように「古代史ムラ」なんです。「記紀」を相対化する道、列島を東アジア古代史・列島内覇権史の中へ解き放つ道は遠い。

 

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