たそがれ映画談義: 年明け後に出会った予告編四作
気になる予告編(コピーは「映画チラシ」現物から転記。) 正月になってから、映画館で目にし、惹き付けられた四つの映画予告編を紹介する。
『命をつなぐバイオリン』(2011年、ドイツ映画) http://inochi-violin.com/ 1941年春、ウクライナのポルタヴァ。ナチスが台頭した時代に、バイオリンを演奏して、生き残りを賭けたこどもたちがいた。
『東ベルリンから来た女』(2012年、ドイツ映画) http://www.barbara.jp/ ベルリンの壁崩壊の9年前――1980年夏、旧東ドイツ。美しい女医が田舎町の病院に赴任して来た。自由と使命。その狭間で揺れる、愛。
『かぞくのくに』(2012年、日本映画) http://kazokunokuni.com/ 父が楽園と信じた北朝鮮から、兄ソンホが25年ぶりに帰ってきた・・・。兄が住むあの国、私が住んでいるこの国。近いのに遠いふたつのくに。ヤン・ヨンヒ監督の実体験に基づく衝撃の物語。
『 明日の空の向こうに』(2010年、ポーランド映画) http://www.pioniwa.com/ashitanosora/ ポーランドと国境を接する旧ソ連の貧しい村、鉄道の駅舎で物乞いや盗みをしながら日々を過ごす幼い3人の少年。「国境を越えればきっと幸せが待っている」。 女性監督:ドロタ・ケンジェジャフスカ。
予告編は、さすがに上手く作ってありますね。どれも観に行きたくさせる。(添付の公式サイトをクリックすると予告編も観ることができます) 本編を観ないことには何とも言えないが、直感からは観る価値ありだ。時代に翻弄される人々と社会との関係の「どうしようもなさ」と、そこでなお生を賭けて起とうとする者の「どうにかしたい」意志を描く気概のようなものが、予告編からピリピリ伝わって来る。「私」性や個人性の尊厳をキッパリ主張しながら、普遍性・社会性・全体性に目を閉じることの無い映画が、近頃の日本映画に少なくなってきているなぁ~~~。 テレビ局が視聴率獲得手法で作る「踊る」大映画、AKB現象の中の文化・・・、一方で「過競争」「課罰式統治」「ハシズム」「アベノミクス」・・・、 二つの顕著な傾向の一見無関係に見えて密接な相関力学=共犯関係に潜む『「社会との関係性」の空洞化と「白紙委任」性』。 そのいかがわしく・危うい正体の近似性への視点を万人のものにしなければ勝てないと思う。