子育ての 「私」性と「公」性-後編

若い母親よ、苦境を越えてくれ

当事務所まで来てくれたのは、区の***部**係のA氏、提携の外部団体****のB氏。                                                                                           なるほど、子ども・子育て・家庭と冠が付くここでも民間委託・外注なのか? 区職員が云わば管理職・デスクワーク、外部団体が現場というか直接案件に接する配置か? ならば、いわゆる丸投げ・下請けではないのか?                                                                                                                             人減らし・効率化(という名の営利企業的運営)ではなく、逆に官的対応・官的感性では至らなかった面を補うべく、官民の複合による活性化へと向かう試みなら言うことは無いのだが・・・。                                                                                                                                                                                                                                                               我が事務所で一時間、目撃した状況を説明し、区や学校が出来ることの可能性について話した。これまで、当案件の通報はなかったと言う。                                                                                                                   数日内に問題の時間帯に四辻に来てみます。学校を特定し、個人を特定し、まず母親本人・学校と話してみます。おうおう、中々スピード感あるやないか。

ぼくの顔つきが強面(?)だし「疎か(おろそか)」に扱っては後が大変そうだからか、男性高齢者からこの種の通報は珍しいからか、                                                                                                                                官・民の二人は真剣に聞いてくれた。                                                                                                                         母子のプライバシーもあり、詳細のご報告は「概略」しか出来ないと思いますが、ご了承下さい。ああ、結構ですよ。あの子への暴力が無くなり、事態が母子が前進する方向へ動くのなら、固有名詞・プライバシー絡む詳細、そんなことはどうでもいいんです。

学校・本人・夫と話し合えた、と電話で報告があった(夫はいたのだ)。夫は毎日早朝出かけるので事実を知らなかった。夜は大きなトラブルも無く、隣近所とも上手く行っている、と言う。                                                                                                            それが、事実なら朝の通勤前の慌しい時間帯だけに起きているパニックなのか? なら勤務先に、子の登校時グズルことのみ話して出社時間を・・・と言おうとすると、「勤務先と話すように勧めました。」                                                                                                      日を次いで報告を得たいが、気になりながら一現場終了を得て通例通り10日間ほど帰阪した。

6月中旬、「集団登校にはまだ加わらないようです」「2:1の割合で、父親も送るようになりました。父親も勤務工夫を勤め先にお願いしたそうです」と連絡がった。下旬、また帰阪した。

7月中旬、A氏B氏の再訪を受けた。「母親の勤務を30分後ろにずらしてもらえました」と報告があり話し込んだ。通学時だけなのか、日常がどうなのかを密かに調べた苦労など、この「公」務員、中々やるじゃないか、と思わせる話がいっぱい。夫の経済的・仕事内容の苦境・学校との話し合い、夫婦ともの勤務先の件、・・・・・・容易ではないだろう。働くための条件は、子育てに直接大きく絡んでいるのだ。                                                                                                                                                                                                                                   女子プロレスラーのように大柄なあの母親は「誰かが通報してくれないか」と思っていたそうだ。きっと、止めに入った関西弁の中年男性だと思いますが、もう大丈夫ですとよろしくお伝え下さい、と・・・。夫婦で号泣なさったそうです。

一度離婚して同じ組合せの再婚だそうだ。「昨秋からの復縁で失敗してはならじと肩を怒らせて生きていたかも・・・・・・。夫とも話し合えました。」と言っているそうだ。A氏が言う、「息子が、学校生活に馴染めず毎朝登校を渋る事実は、夫に知られたくなかったんですな」                                                                                                                                                                                                                                離婚・再婚に付着している、本人だけが知る「負目」「事情」「愛憎」は知るよしもない。たぶんそこに、人には語れない・人には解からない、夫婦の歴史があるのだろう。だが、子はそんなことからは解き放たれて生きる権利がある。そして、偉そうなことは言えないが、夫婦ちゅうものは、そうした「負目・遠慮・背伸び芝居」を続けていては、再崩壊やで、と思った。                                                                                                      もし、報告の通りなら、いい方向に向かっているのだろう。この母子のようには行くことは稀なんですか? まぁ、いろいろですね、今回ご亭主がマトモな人で助かりました、だそうだ。いつもこうは行かないだろうし、このケースも先がどうなるか不安だ。                                                                                                                                              もし、母親が言っている通り「誰か通報してくれ」「多くの他人に諭されて立ち直りたい」が事実なら、この母親はギリギリ踏みとどまる理性いや母性を持っていたのだ。                                                                                                                                                     頼むよ、しっかり自分と息子を生かすんやで! 関西弁爺のお希いです。

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ともあれ、A氏B氏の動きが無い(または遅い)なら、こうはならなかった。

「公」の仕事ぶりに謝意を抱いたのは、昔、労働争議(組合否認の偽装破産VS職場バリケード占拠)のさ中、当方には5歳児・3歳児・1歳児と子が三人おり働けなかった妻が、無収入回避の為に勤めるに当たり、中途入所(しかも仕事が見つかる前から)という弾力的運用で保育所入所を措置した某市の福祉事務所長の英断・・・、あれ以来だなぁ~~ 

「私」の決意や努力が、「公」の誠意と理ある運用に遭遇する時、「公」「私」の本来あるべき形が見えるのかも。                                                                                                        いや、奇妙な効率主義や「指図務」さえ無ければ、市民と本来の公務員は、そのように響き合って在ることを求め互いに呼び込むのではないか・・・。そう思いたい。

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