歌遊泳: ヨーロッパの両端から
ファドとムジカ
ヨーロッパには全く詳しくないので、当然に各地の民・人心・歴史・文化に不案内だ。 だから、その地の人々の身と心に沁みついた唄など知るはずもない。 ある時、各地に「日本の演歌」「大衆歌」のような(と比較できない程の歴史性を持った)ものとしての歌謡があって、 フランスのシャンソン、イタリアのカンツォーネ、ポルトガルのファド、ギリシャのムジカという具合に、 その地の永い歴史・民族・民俗・文化によって育まれ唄い継がれて熟成した、その地(国ではなく地域)ならではの歌謡があると聞いた。 もう先には大西洋しかない欧州の西の果てポルトガル、アジアに接し人・文化の交差点・交流・混在域でもあった欧州の東端ギリシャ、北方:東欧の影響もトルコ圧政下の影響も受けた近現代ギリシャ音楽・・・。 ぼくの耳には、中東、遠くはインドの響きまで聞こえて来るような…(知りもしないのに・・・)。 そこには、大衆歌に共通する、中央には失せてしまっても周縁の地には今も根付き息づく、人間の臓の底から発せられる唄が聞こえる気がする。 その響きに、ハリウッド製が席巻する映画に代表される文化や表現でのグローバリズムはもちろん、経済的ヨーロッパ統合たるEUまでもが、 培われた土着の文化を解体させようとする危機への、強い抗いの意志が聞こえるのはどうしたわけか・・・。 レ・ラ抜き「沖縄音階」(ト・ミ・ファ・ソ・シ・ド)がそれ自体、ヤマトへの抗いを秘め持っているように、そこにはヨーロッパ中央への、 さらには米英・グローバリズムへの文明論的「アンチ」の意志が唄われていると聞こえるのはぼくだけではあるまい・・・。
何によらず、「統合」(や「統一」「団結」「共同」)とは、中央・司令部・教条が、周縁部を解体し無化することの上に築き得るものでは決してなく、周縁の歴史性と根付いている固有性は、「統合」の人工性より強固だと思う。だが、人はしばしばそこを見誤りその強固なものを「強権」を発動して踏み荒らし「統合」して来た。それは、国家でも宗派や吹けば飛ぶよな政治組織でもそうなのだ。 「統合」。それは、各周縁部が自前・固有の意志を確保しつつ、ある限られた課題領域だけに有効だろうと採用する、 現実的智恵・共通策としての、ひとつ方法論・技術論に過ぎない、と思う。 (不案内なので、YouTube から適当転載) ポルトガル・ファド リスボン場末で聴いた「ファド」 http://www.youtube.com/watch?v=x3d7gIuTyy0 「暗いはしけ」 http://www.youtube.com/watch?v=GdJYzzyO7nc&feature=fvsr アマリア・ロドリゲス 「Coimbra」 http://www.youtube.com/watch?v=LqB8RAPC9QM&feature=fvwrel アマリア・ロドリゲス 「Fado Meu」 http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=9Aa01u8RtgM アマリア・ロドリゲス
ギリシャ・ムジカ 「To Tango Tis Nefelis」 ハリス・アレクシーウ http://www.youtube.com/watch?v=a9dIWOYmtcQ&feature=results_video&playnext=1&list=PL1208E6D63DDA6B4A 「Mia pista apo fosforo」 ハリス・アレクシーウ http://www.youtube.com/watch?v=C9Tt9wL7hDk&feature=results_video&playnext=1&list=PL1208E6D63DDA6B4A 「Magissa」 ハリス・アレクシーウ http://www.youtube.com/watch?v=xq4v_k9adfE&feature=results_video&playnext=1&list=PL61AEADBD79A378E2 ギリシャ民謡「ディルラダ」 (これは、トルコに近い島の民謡。クリックした画面にギリシャ各地の民謡あり。) http://www.youtube.com/watch?v=Uc9IyZJ0H_0 歌謡ではありませんが 有名なミキス・テオドラキス作曲になる 映画『その男ゾルバ』より 「Zorba’s Dance」 http://www.youtube.com/watch?v=ZZY1pPX14A0&feature=related (民族的舞踊=シルタキ に使われる各種民衆音楽を詳しく知りたい)
懐かしーねー。ファドは魂の叫びと言いますが、もう数年前になりますが
神戸で日本の最高の歌い手、月田秀子さんの歌を成田一徹さんと聞きました。
彼が切り絵にしています。東京では彼女のコンサートは多く開かれているみたい
です。ken