ほろ酔い通信: 女優七変化
真木よう子
NHK『龍馬伝』の「お龍さん」役(男前・一途にして、腹が座って情深き、実に素晴らしい「お龍さん」だった)でブレイクした真木よう子のことは、 それまで『パッチギ』の女番長役(やがて看護師になる役)や、TVドラマ『東京フレンズ』、映画『揺れる』で知ってはいた。 東京へ赴任した頃、現場が遅くなり帰宅して何気なく点けた深夜TVドラマ、大塚愛・瑛太主演のプロを目指す素人バンドの青春群像劇『東京フレンズ』を観て、飛び飛びだったが何度か観た。ぼくにはこのTVでは『パッチギ』のあの女優だとは思い浮かばなかったのだが、、大塚愛や小林麻央らの青春ものの中で、独り「はすっぱ」な女を演じていてマイナーに輝いていた。前後して『揺れる』で山路ふみ子賞(新人賞)を取ったらしいが(上段右から二番目の写真が受賞会場でのもの)、一部の監督が「使ってみたい女優だ」と注目したらしい。 仲代達也の「無名塾」出身で、二十歳そこそこの頃、仲代と些細なことから大喧嘩となり飛び出し、未だに口も利かないというのは有名だそうだ。 ともあれ、NHK『龍馬伝』前後から、TVと映画『SP』や、飲料のCMや、資生堂インテグラ化粧品CMに抜擢され大モテだ。『パッチギ』『揺れる』『お龍さん』、最近の『SP』・・・、都度表情や雰囲気が違い「女優」を感じさせてくれる。高倉健が「高倉健」を、吉永小百合が「吉永小百合」を演じることになるほどに個性が先行しているのなら、この女優は「役」の都度私的個性を投げ打っている・・・、と言う意味で「女優」なのかも知れない。 小百合さんの最高芝居とぼくが思っている『細雪』(83年)で、三女雪子の怪しい魅力を引き出して撮った故:映画監督・市川崑は「君ぃ~、女優は七変化でないと・・・」と言ったそうだが、確かに上の15葉の写真(ほぼ年代順)には、岸恵子・小泉今日子・中山美穂・伊藤美咲・篠原諒子・田丸麻紀などが居る。
真木よう子PhotoStory『わかれうた』というのがあって、みゆき姉さんの歌が流れるのだが、姉さんが「真木よう子さんならOKよ」と快諾したそうな。なるほど・・・・。 http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=GG10MYX9Tl4
発言も中々筋金入りで、『SP』完成発表会で「女がかっこいい時代を作りましょう」とぶち上げ「男の真似をするのではなく、女が女のままかっこいい時代」とやったそうだ。女性性を掴みあぐねた七〇年若者世代男女には堪える言葉だ。芸能誌によれば、同世代の男性には恐れられてかモテず、伯父さんにモテて来たのだが地位や業績を築き上げた男には興味なく、出来れば互いに力になれる未完成な存在を求めて来たという。結婚した相手はリリー・フランキーに師事して脚本等の修行をしている元俳優だそうだ。女児がいる。 たまたま初期「真木よう子」を駄小説ヒロインのイメージキャラクターにした関係で、ちょいはまっている。芸能情報誌には、顔や胸の整形をしているとか、民族名:金蓉子(キム・ヨンジャ)という在日女性だとか書かれている。真偽のほどは知らないが、そのことも併せ、女優根性や精神の筋肉質を見る思いがする。 だが、そもそも、ぼくの知る女性なるものの多くは、七変化は無理でも誰だって五変化くらいは、いや十変化も十二変化もして生きて来たぞ。 恋人・妻・母・勤労者・姉・妹・娘・女の子・・・、戦友・親友、そして愛人・ときには**のように・・・ってか? そこへ行くと男が変化できず、しなやかさと変幻を奪われて生きているのなら、それは各種教条のせいではあるまいか? 深夜酔って電話して来た某岐路に立つS君、人生七変化ですぞ!手放さず持つべきは、変化(へんげ)を貫いて持続する「志」だ!
【太宰と吉本の会話(1947年)】 太宰:「おまえ、男の本質はなんだか知ってるか?」 吉本:「いや、わかりません」 太宰:「それは、マザー・シップってことだよ」 吉本独白:『母性性や女性性ということだと思うのですが、男の本質に母性。不意をつかれた。』 (雑誌『東京人』、08年11月号) ←【 つぶやき: 太宰と吉本 生涯一度の出逢い 】
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