交遊通信録: ここに 「We」が在る
Uさん メール拝受しました。ぼくも、最後のルイス・ウルスア氏救出のシーンまで断続的にTV見てました。
世界中が最初の救出ゴンドラを引き上げるワイヤーを見つめ、間もなくゴンドラが姿を見せようとする時、期せずして地上で待つ仲間の輪から歓声の掛け声が上がったね。 ビバ・チリ、ビバ・チリ、 チリ・チリ・チリ。 ビバ・チリ鉱山労働者! チリ鉱山落盤事故救出劇のクライマックスの始まりだ。翌日、メンバーのリーダーと目される最後のルイス・ウルスア氏が救出されるまで、世界中が固唾を呑んで見守ったことと思います。 ビバ・チリの声に、故:アジェンデ大統領(1973年9月11日、軍部クーデターにより死亡)の最後の演説肉声が思い出され、胸が詰まります。 http://www.youtube.com/watch?v=SG3f08LVwhE ビバ・チリ鉱山労働者! 劣悪な安全対策下で地底の重労働に生きる、33人の名も無き人々が70日間もの長期に亘り、地の底深い閉鎖空間に整然と耐え得たのは、そこに企業社会が喪って久しい「We」が在ったからに違いないと思うのです。 「強圧と忍従」に支えられた【井上ひさし氏遺作:『一週間』がシベリヤ捕虜収容所を舞台に描く「ソ連型」乃至「日本軍型」】 『統制』 ではなく、 「信頼と自発」に基づく【「ラテン的」乃至「沖縄的」】 『連帯』 の、70日間の実相がやがて明らかになるだろうと思っています。 (「We」に関する拙文 → 『「We」の不在』 http://www.yasumaroh.com/?p=6376 ) 33人の顔写真には、そこに モンゴロイド(つまりは、ネイティヴ南米)系の要素が色濃く見えます。事態の構造を物語っていると思います。 ビバ! 名も無き者たちの「We」感覚。 過去、炭鉱・鉱山の落盤や水脈破裂などで、どれだけ多くの人命が奪われて来たことか・・・。世界は、救出劇に浮かれるのではなく、危険作業下の重労働や、共助風土解体下のあらゆる人権無視労働と無権利雇用形態の「非」を自ら糾すべきだ。 その場所以外からの、33人への声援は虚しく、いかがわしい。 33人殿、マスコミの持ち上げ、大国の国家的営業活動、チリ政権の政治利用などに振り回されず、かつメンタル復権を果たし、自己を見失わず、 そして「We」を手放さないでと希っていたい。 それが、エスペランサだ。
『地上の星』 http://www.youtube.com/watch?v=v2SlpjCz7uE&feature=related 中島みゆき