たそがれ映画談義: 若者の時間
練り上げられた脚本、役者がその作品や登場人物に共感している作品というものは、
やはり観る者のハートに届き、いつまでも繰り返し思い出し味わうことが出来る。
観る者の、その後の人生に影響を及ぼさずにはおかない宝物が詰まっている。
下記に挙げた五つの群像劇(映画とTVドラマ)にはそれがあったと思う。
学生期の、揺れてぬかるむ「道」、求めて得られぬ「答」、届くことのない「想い」・・・
その日々は特権であり、贅沢であり、彷徨であり、幸いであり、モラトリアムである。
優れた映画は、その貴重な時間の得難さと価値を再認識させてくれる。
【Goo 映画紹介より】
『帰らざる日々』
シナリオ作家を志しながら、キャバレーのボーイをしている青年の現在と故郷の高校時代の青春を描く、
中岡京平の第三回城戸賞受賞作「夏の栄光」の映画化。
(78年、日活。脚本:中岡京平、監督:藤田敏八、出演:永島敏行・江藤潤・浅野真弓)
『サード』 (この紹介文、ぼくには、ちょいクエスチョン? です)
一人の少年院生が、少年と大人の狭間を彷徨しながらも、成熟に向って全力で走り抜ける姿を描く、
軒上泊原作「九月の町」の映画化。脚本は「ボクサー」の寺山修司。
(78年、ATG。脚本:寺山修司、監督:東陽一、出演:永島敏行・森下愛子・吉田次昭)
『ヒポクラテスたち』
京都府立医大を卒業した大森一樹監督が自らの体験をもとに、大学病院での臨床実習を通して、
医術を身につけていく若者たちの青春群像を描く。
『ダウンタウン・ヒーローズ』
旧制高校生(戦後学制改革直前の最後の旧制高校生)たちの恋や友情などの青春群像を描く。
早坂暁原作の自伝的同名小説の映画化で、脚本は山田洋次と朝間義隆が共同で執筆。
(88年、松竹。監督:山田洋次、出演:中村橋之助・薬師丸ひろ子、柳葉敏郎、石田えり)
『白線流し』
ひとつの高校で昼間と夜間で同じ机を共有していた男女の学生がお互いにひかれあう出会いを軸に、
地方の高校で懸命に生きる若者たちの姿・・・
(96年1月~3月、フジTV。脚本:信本敬子、出演:酒井美紀・長瀬智也・柏原崇・馬渕英里何)
10年ほど前、『白線流し』をレンタル・ビデオ店で借りて来て録画していたら、
大学に通う息子から 「ええ歳して、何を録画しとるんや? アホ臭い」と嘲笑れた。
「人に頼まれてな・・・」と返したが、バレたようで恥ずかしい想いをした。
渉(長瀬智也)と園子(酒井美紀)たち群像の、地方都市に生き残っているかも・・・の
痛い「青春」を描いて稀に見る秀作だった。 後日、それを再生して観ている息子を現認。 むろん報復した。
「ええ歳して、何観とるんや?」・・・。 息子はバツの悪い顔をして無言だった。
その息子は、五年前、四年間勤めた外食産業を辞め不足する教職単位取得に専念、
翌年、某市立中学の国語教師になった。
TV画像とスピッツによる主題歌を採録: http://www.youtube.com/watchv=d44630XkPgk http://www.youtube.com/watch?v=P-I9Tn6RL0Q http://www.youtube.com/watch?v=uHt6-yOLuIM&feature=fvw