歌遊泳:【緒形拳 阿久悠を語る】
【緒形拳 阿久悠を語る】
こんなふうに歳を重ねたいと敬愛していた 故:緒形拳さんの朗読、
時代を観ていたなと思わせた作詞家 故:阿久悠さんのエッセイと歌と歌詞、
敗戦を八歳で迎えたお二人・・・。
焼跡・闇市・貧困・ひもじさ・進駐軍・敗戦後空間・日本国憲法・・・。
少年の目と耳と「ハート」に焼き付き沁み付いたものを、
抱えたまま生き抜いたのだろうこのお二人からは、
国や軍に阿(おもね)るような言動はついぞ見聞きできなかった。
ともに、私のちょうど十歳先輩のお二人。
「1970年前後にこの国の曲がり角があった」と
多くの識者が語っている、と何度か述べて来たが、それは、
戦後市民社会の乱脈的成熟、生活の家電的発展、駅弁大学的教育の向上、
職場への女性の表層的進出・・・、
そこから一種の変化へ、それまでと違う社会へ、やがてある衰退へ
うねり始める曲がり角だと言い当てていたのか。
阿久悠がその曲がり角に立ち、失われ行くものを視ていた先輩だとしたら、
ぼくや君は**を自称してはいても、所詮は曲がり角の自覚も無く迷走し、時代と明治との地続き性が見えなかった後輩だったのだろうか?
緒形拳:1937~2008、阿久悠:1937~2007。合掌。
【緒形拳 阿久悠を語る】
『白い蝶のサンバ』
『街の灯り』
『あの鐘を鳴らすのはあなた』
『さんげの値打ちもない』
『もしもピアノが弾けたなら』
『時代おくれ』
『熱き心に』
【付録】敗戦を8歳前後で迎えた人々
*1936年生まれ
山崎努、野際陽子、市原悦子、戸田奈津子、つのだじろう、菅原洋一、楳図かずお、
*1937年生まれ
浅井慎平、山本学、山口洋子、阿部譲二、美空ひばり、つげ義春、
*1938年生まれ
熊沢誠、大林宣彦、石ノ森章太郎、松本零士、島倉千代子、なかにし礼